作者:みつちよ丸
連載期間:少年ジャンププラスにて2017年10月20日〜連載終了(完結)
単行本:全3巻(2018年11月2日3巻発売)
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第13話「狂気の棲む家」
「お父さんには人に言えない秘密があった」
援助交際…小太りの父親は常日頃から学生たちを買いあさっていた。
「お母さんにも秘密があった」
薬物中毒…寂しさを紛らわす為、それとも快楽に溺れたのか。
ある日、父親は川で腐乱死体として発見され母親は家に火を放って焼死した。
このくそビッチが…あと三日もあるのに台無しにしやがって。
予定外に本間あつ子を絞殺した男は死体の処理を急いだ。
その翌日―
川で遺体捜索をしていた東雲たちは川底から出てくる死体に驚きを隠せなかった。
「これで4人目ですよ」額の汗をぬぐいながら笹塚は言った。
「ちなみにアレの手配はどうなってる?科捜からの連絡は?」
東雲が矢継ぎ早に切り返す。
「まだです。相当無理言ってねじ込んでもらいましたが…」
少し疲れた感じで笹塚は答えた。
「ちょっと電話してくる。」
東雲はその場から立ち去り現場を見渡した。
(相当数のやじ馬が集まっていることでもしかしたら犯人がいうのではないのか?)
(死人の声が聴ければそれが分かるのではないか?)
などと考えながら泪とまどかに電話をかけた。
泪にまどかの様子を聞く。少し声が震えているのが分かったが無事な様子に安心する。
殺人に反応した泪に「何か知っているのか?」と東雲。
「こっちに来てくれな―」
途中まで言いかけて東雲は言葉を飲み込んだ。
「すまない」
まどかの事を思えば泪がこっちに来ることなどできるはずもない。
「いまのは忘れてくれ」
「見つかった死体の一人は確かに若い女の子だ」
複数の死体が上がったことを暗に伝える。
泪はまどかの兄の彼女の妹が行方不明になっていることを東雲に伝えた。
(高岡まどかの脇を固めている間にほかの被害者を出し…これでまどかが襲われたらとんだ笑いものだ)
東雲は迷っていた、まどかのそばにいるべきなのかと。
「あと何日残っている?」
泪にまどかのタイムリミットを尋ねる。
「あと二日とちょっとです」
あと二日ある…それに固執して不意打ちを受けるのは避けたい。
犯人にとっても今日、彼女たちが見つかることは想定外だったはず。
この騒ぎを目の当たりにしたら…
「東雲さん」
笹塚が駆け寄って興奮気味に叫んだ。
「水戸則夫からメタンフェミンがでたそうです」
まどかちゃん…また来たよ。
こうは浩二もいないんだろ?知っているよ…
まどかの部屋を水戸則夫は外から舐めるように眺めていた。
窓際に見える泪の姿に水戸は困惑する。
だれだ?あいつ??
その時…
河原から駆け付けた東雲が警察手帳を見せると水戸は東雲を突き飛ばして逃走する。
捕まってたまるか…
誰だあいつ…
俺は都内でも一番足が速かったんだ。アスリートでもない限り捕まるはずがない…
思いを巡らせながら逃げる水戸。しかし―東雲は更に速く追いついいたのだ。
(こいつが連続殺人犯ならいっそ私がこの手で)
かつて姉を失った悲しみと怒りに東雲は理性を失いかけるも、優しい姉の笑顔が踏み止まらせる。
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感想
いよいよ佳境に入ってきました。
水戸が捕まったとはいえ全然、安心できませんよね。
東雲も姉に対する想いで寸前のところで踏みとどまることができましたが戦いは事件の解決はもう少し先か。
不幸な三人の家族が生み出した狂気の化け物こそが真犯人とすればいったいその正体は誰なのか?
14話に続きます。
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